会長/代表理事 岩松 慎弥
日本の家庭には、蔵書という過去の膨大な書籍が眠っておりますが、以前までは廃棄するか、古本として売るしか方法はありませんでした。
2010年に蔵書電子化サービスが始まって以降、ユーザーはデータとして書籍を保管することが容易になりましたが、権利者へ対する配慮や対応など、今後話し合いを進めていかなければならないことがあります。
まず、日本蔵書電子化事業者協会では、データ化済み書籍は溶解処分する、データの使い回しをしない、データにユーザ情報を埋め込むなどの再流通を防ぐための基本ルールの徹底を進めます。
そして、今後はMyブック変換協議会や、権利者の方々、ユーザーの方々と話を進めていくことで、よりよい蔵書の電子化サービスを目指していき、権利者の方の不利益にならず、ユーザーにもご満足いただけるサービスの提供を行なっていく所存でございます。
我々事業者としては、電子ファイルの違法流通を抑止していきたい、と強く思う一方で、その点も配慮の上、家庭に眠った蔵書の電子ファイルへの変換を行い、日本の皆様の本の読みやすさ、取り扱いの利便性を低コストで貢献していく必要があると思っております。
蔵書電子化サービスを利用する方々は、書籍の購入代金に電子化料金を加えてでも手元に持っておきたいと思っている、著者を大切に思っている方々です。
著者、出版社の方々にとっても、古本市場に流通しない点や、個人がデータ化を行った場合よりも違法流通した場合に特定することができる可能性がある点など、メリットも考えられます。
書籍に関わるすべての方々に、日本蔵書電子化事業者協会を通じて、貢献していけるよう、努めてまいります。